第9話 どんどん…
 夏、どんよりと進行中…。

 スマイリーは、燃えている。1コメにおいて、1分を切る、なんてことを編集部員が宣言した手前、今さら「無理です」なんて台詞は吐けそうもない。だったら、開き直ってガンガン攻め込むしかないではないか。
 スマイリーの、その決意は空回りしつつ、他人をも緩やかに巻き込もうとしていた。

 そもそも、今回のテーマは「それゆけメドレーリレー」であったはず。だが、個人が4人揃ってから泳ぐという意味では、ある種、やはり個人競技なのだ。スマイリーは、その「個人」がスキルアップを果たして欲しいという思いから、ついつい、こんな発言を編集部員が聞いているとも知らずに、漏らしてしまった…。

スマイリー 全部の大会記録を『四国進学会』で塗り替えたいなあ…
 すぐ側で聞いていたミケンは内部で《ミケン》が、ビキャンビキャンと喜んでいるのも無視して、スマイリーを黙殺しようとした。だが、スマイリーは、そんなミケンに呟いたのだった。
スマイリー 「ミケンさん、100メートル種目だったら、まだ誰も泳いでなくて空欄になってる種目がありますよ!
 さすがに、ミケンも黙っていられずに、しぶしぶ返した。
ミケン 「そんなん、スマイリー君が全部塗り替えたらええやん…」
スマイリー 「いやいや、1人が出られるのは2種目ですから、5年間で10種目しか無理なんですよ。ミケンさんやダッシュさんに協力してもらわないと…
 後日、この言葉を伝え聞いたダッシュは、一言。
ダッシュ アホか

 ダッシュよ、確かにスマイリーは「アホ」かもしれない。が、しかし…。編集部員が聞いてしまった以上は、ダッシュ&ミケン&スマイリーは大会記録を総なめせねばならない方向へと全力疾走なのだ!
 それが個人のスキルアップにつながり、メドレーリレーも、よりいっそうのタイムアップにつながること間違いないのだから…

 こうやって、四国進学会水泳部は、連載と同時進行で、どんどん、ノルマやら何やらが増えてゆく不思議なポケットのごとき集団なのであった。

(そろそろ、大詰め…かな?)

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