第4話 びしびし…
  春、そろそろ終わりそう。

 ミケンの中に潜む《ミケン》は、毎年、この時期になると、ビキャンビキャン言いながら、確実に一個の人格として、この連載上で発言機会を拡大してゆく。今年も、「部活クラス」の生徒に向けて、タイアップのごとくにノルマは課されてしまったのであった。
 しかし、今年のミケンはひと味違う。仕事・家庭・趣味は勿論のこと、水泳にも全力を傾ける決意なのだった。
 ミケンのバタフライは、昨年出した18秒がベストタイムである。昨年は、同僚ダッシュとのバタフライ対決を制した。ここで、四国進学会チームは編成を多少変えてきたのである。
 バックは昨年と同様スマイリー。ブレも昨年と同様バイオ。この2人は、本職みたいなものであり、他チームをちぎってくることが予想される。そして、昨年、体調不良によりブレーキになったのがダッシュのバタフライだった。ダッシュは16秒を予定していたのにもかかわらず、19秒かかってしまったのだった。ここを、ミケンに任せる方向で編集部員は今回の連載を進めてゆくつもりなのだ。そして、フリーは昨年14秒台で泳いだミケンに替えてダッシュ。ダッシュは以前からフリーは14秒台を出しており、これでミケンが予定通り16秒を切れば、一気に3秒の短縮は可能なのだ…。

 が、しかし…。本職の2人は昨年の時点で、年齢を考慮するとまあまあ限界に近いタイムだった。スマイリーの13秒前半、バイオの14秒後半。この2人には大きなアップが望めない…どころか、高血圧で薬を常用するバイオは完全に練習不足に陥っているし、スマイリーは内臓に脂肪を溜め込んでいるという噂もなきにしもあらず。つまり、後退する可能性がグーンと高くなる。
 ならば、確実にタイムアップが望めそうなミケンのバッタとダッシュのフリーに託すしか四国進学会チームに、明日は…ない。

 そこで、編集部員はバイオに頼んで、ミケンを泳ぎ込ませるための指示を出したのだ。妥協することなく、びしびしと…
 ミケンにとって、《ミケン》の季節がやってきた。

《ミケン》 「おい、今年もちんたらやったらどうなんだ? ビキビキ…」
ミケン 「いや、今年はバイオさんと同じ校舎やから、ちんたらできんわ」
《ミケン》 「そんなんしたら身体を壊すんちゃうか? ビキャビキャ…」
ミケン 「でもな、部活クラスの生徒を引っ張るために、頑張るわ」
《ミケン》 「ビキャンビキャン!」

 ミケンは自らの別人格《ミケン》と語りつつ、自分をびしびし、鍛えるつもりなのだ。読者諸氏も、ミケンに出会ったら、「びしびし!」と声をかけていただきたい。

(そりゃあ、続きますわ)

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