第11話 いらいら…
 夏、あつっ…。

ミケンは、いらついていた。ミケンの中で相変わらず猛威をふるっている《ミケン》と、問答を繰り返しつつも、バイオの「日本語の言い方」について、いらついていた

ミケン 「あのな、『好きな種目を選ばせてやる』っておかしいやろ」
《ミケン》 「んっ? 4種目の中で好きな種目やから、いいじゃないか、ビキビキ」
ミケン 「だって、専門で泳いでた選手でなかったら、平泳ぎや背泳ぎは出られへんやろ」
《ミケン》 「んっ? おまえ、背泳ぎには出たやろが、ビキンビキン」
ミケン 「あれは、こっぱずかしかったで。しかも、25や」
《ミケン》 「ほな、平泳ぎはどやねん、ビキャンビキャン」
ミケン 「あほ、ほんな全種目泳いでしまったら、コンメが待ってるやろ…」
《ミケン》 「そやな、きっとそれを狙ってるんやな、バイオ&編集部員は。ビギビギ」
ミケン 「結局、バッタかフリーになんねんってば…」
 そんな不毛な問答を繰り返しているうちに、四国進学会水泳部は今年度初の合同練習を開催することになった。
 ミケンは、当面のライバルであるダッシュが、異様なくらいフリーのタイムが上がっているのを見て、驚愕したのだった。
ミケン 「なんや、ダッシュさん、えらい速いで」
《ミケン》 「おそらく、お前にだけは負けたくないんちゃうか、ビギャンビギャン」

 そうなのだ。ダッシュは昨年、バッタで負けたミケンに絶対に負けたくないと、こっそりスマイリーの指導を受けていたのだった。この成果が現れて、ダッシュは、今回、かなり期待できそうなのである。

 ミケンは、焦っていた。ここで負けたら…また、自分が主人公となって、テーマが課されるであろうことを危惧もしていた。そろそろ…

 その通りである。編集部員はここで高らかに宣言する。

「ミケンが負けたら、蔵本での大会までに、ミケンのストーリーを掲載する!」

(もう、大会です。次回は最終回)

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