第15話 情報いっぱい
 この連載は「ミケンの奮戦記」と題しているために、途中、一回ズレかかった話を元に戻し、題名通りにミケンに焦点を当てつつ、話を展開している。が…そのことによって、一人、悠々自適な「まったり」と泳いでいる選手が存在するという情報を当編集部は入手した。その情報を提供してくれた某選手に匿名を条件で、当編集部はインタビューを行うことに成功した。
編集部 「どうやら、ある選手が、かなり悠々と泳いでるという情報なんですが」
某選手

「確かにそれは事実だな、むふっ」

編集部 「それは、どなたですか?」
某選手 体重がバンデさんとほぼ同じくらいあるスマイリーだよ、むふむふっ」
編集部 「具体的には?」
某選手 「我々の合同練習日、11時前から泳いでたのに、スマイリーは11時40分に到着したのだ、むふむふむふっ」
編集部 「それは、練習量が少ないってことですね」
某選手 「体重と練習量が反比例なのだよ、むふんむふんっ」
編集部 「それはいけませんね」
某選手 「その通り。よって、編集部がスマイリーの必須タイムを設定してほしいのだよ、むふむふむふむふっ」

 このように、文章上からは決して誰が情報提供者なのかは一切わからないのだが、当編集部はスマイリーに対して、某選手の依頼を受け、必須タイムを発表することを宣言しておく。

 そもそも、スマイリーことコマツ講師は競泳経験者である。その日も、ダッ…もとい、某選手に対して、「既に調整段階に入っています」と告げたらしい。調整。専門用語で言うところの「テーパーをかける」ということは、自身のベストタイムを更新するために念入りな仕上げに入ったということにほかならない。彼は言うまでもなく200個人メドレーの徳島県記録保持者である。しかも、奥様のコマツスミカ様(旧姓ミナモト様)は先日、マスターズ世界記録を更新なさったばかりのツワモノ夫婦である。スマイリーの50バックベストタイムは27秒7。そう、スマイリーは、今大会で27秒7のベストタイムを更新するつもりなのだ。ならば、その決意に当編集部が応えないわけにはいかない。よって、ここにスマイリーの必須タイムを宣言する。

50バックは、27秒5

 ついでなので25バッタも必須タイムを宣言しておいてもよいだろう。

 25バッタは12秒5。根拠は、ない。

 このように次から次へと様々な情報が寄せられる四国進学会水泳部。ミケンと同級生であるスマイリーも、きっと、読者の皆様を楽しませる活躍をしてくれるはずである。このタイムを出せば、全国でも有数のトップスイマーだったスマイリーの復活劇、である。日本人の好む、復活劇、である。関係のない人々でさえ涙を流す、あの復活劇、である。

 頑張れスマイリー。君の「調整」がうまくいっていることを確信しているぞ。

(ちょいとつづきまくらせていただく)

<<水泳部TOPへ