第13話 困惑いっぱい
 結局、何か1種目のために練習を積もうとすることがマチガイだということに気づいたミケンは、大会までの残りの期間で、すべての種目に対応すべく、猛練習に励むこととなった。元々、剣道少年であったミケンは、体力に関しての自信は、ある。しかし、水の中となると、話は別だった。水泳というスポーツは他の陸上におけるどのスポーツとも違って、支点が常に移動し、しかも、身体を身体自身のみの力で進ませなければならないという特徴を持っている。
 つまり、単にバカ力を発揮しても効果がそれに比例して出るわけではないということだ。いかにして、効率よく水をかき、水をけり、身体の抵抗力を減らすか、というスポーツなのである。

 要するに、アタマが必要なのだ。ミケンは、そこに関しては多少なりとも自信を持っている。何よりも、ミケンは剣道少年だったが、スポーツ全般が大好きであり、なおかつスポーツ観戦が趣味なのだから。様々なスポーツに精通しており、学生時代には高校野球に関わる記録をとるアルバイトをしていたこともある。その『スポーツ観』を最大限に利用して、アタマで効率よく泳ごうと考えたのだった。ただ、水泳は、アタマで得た知識を実際に行ったところで、自分自身で確認することが困難なスポーツであることも事実である。
 結局、猛練習を積むしかないことにはかわりないのだ。

 せめて、昨年までコーチをしてくれていたスミカコーチに教わったメニューなんぞを思い出しつつ、自覚して自戒しなければならないポイントを見つけていこうと思うミケンであった。

 さて、一方のダッシュは、いくら練習を積んでもなかなかバッタのピッチが上がらないことに困惑していた。話の流れから、どうやら自分には15秒を切ることが暗黙のうちに期待されていることは重々承知しているダッシュ。しかし、実際にバッタを泳いだのは1年前のリレーにおいてだけ、である。そのときの17秒が実際には速かったのか遅かったのかさえもわからないのだ。
 時折、合同練習時にバイオからアドバイスをもらうものの、バイオのアドバイスは、やはり競泳選手上がりの人間が放つ、どちらかといえば『シロウト』に近い自分には不向きであるとダッシュは考えていた。ミケンを追い込みつつも、なかなか自分のタイムが上がらなければ、去年のミケンの立場に自分が追い込まれてしまうことに気づいたダッシュ。残りわずかな期間で、何とか本当に14秒台を出さねば、こんなに引っ張ったリレー対決の「予想」を楽しみに入れてくださった方々に申し訳ない。ダッシュは、まじめに週3回泳ぐ気になっているようだった。

 2人の困惑は、明らかに2人が『勝ち』を意識したからこそ、の副作用であろう。勝てると思うからこそ、悩み、燃えるのだった。そして、本編において、あまり取り上げられてはいないものの、TSDとの共同で行われる共通半強制必須種目の25バッタでは、ダッシュとミケンの直接対決も行われる。ここからは、2人の直接対決の予想もしつつ、マスターズまでの残り少ない期間を心待ちにしている編集部一同であった。

(ドッコイ、続きまくる)

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