第12話 誤算いっぱい
  ミケンには、根拠のないやる気と根拠のない自信が芽生えつつあった。「ある」ではなく、「あった」のだった。根拠がないのだから説明しようもないのだが、あくまでもミケンは、やる気だった。
 しかし、最近トレーニングを積むたびに、ここ2年ほどの「伸び」が自覚できずにいた。
 ミケンは悩んでいた。
ミケン 「何かが変やで。もうちょっとガツンという伸びがないんや」
《ミケン》 「それはな、原因があるんやで、ビキビキ」
ミケン 「原因? なんや、それは」
《ミケン》 「簡単や。去年まではスミカコーチに習ってたやろ、ビギビギ」
ミケン

「そうや、今年はスミカコーチに教わってないんや…」

《ミケン》 「そうやろ。やっぱり、スミカコーチに教わってなかったら、伸びへんのちゃうか、ビギンビギン」
ミケン 「…でも、いつまでもスミカコーチには迷惑をかけられへんしな」
《ミケン》 「おっ、一人で頑張る気やな、ビキャンビキャン」
ミケン 「おうっ、一人で乗り越えてみせるわ。14秒、切ったるで
《ミケン》 「頑張れや、ビカーンビカーン」

 こうして、スミカコーチのレッスンを抜きにして、ミケンは実力を発揮するために努力を始めるのだった。無論、スミカコーチに教わらないというのは、ミケンにとって痛いことなのだが、それでも、あの下馬評を見て、ギラリンッ…と光ったミケンの皺から発散される輝きは、本物だ。その輝きが6月11日のマスターズで一層の輝きを見せるためにも、ミケンは、自らに厳しい練習を課すことを誓ったのだ。

 ミケンよ。確かに誤算がいっぱいだ。しかし、ミケンも3年目を迎えるスイマーなのだから、ここらへんで、一発ドデカい仕事を決めてくれ。編集部一同、それを願っているぞ。
 えっ、ドデカいって?
 無論、TSDにリレーで競り勝って、ガッツポーズを決めることに決まっているぞ。

(もう、大会までわずかの間だが、続きまくらせていただく)

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