第11話 練習いっぱい
 ミケンは、最近のなかなか晴れない「梅雨の走り」の如くに、少し疲れていた。というのも、部員たちはリレー、リレー、と叫んでいるのだが、実際には個人種目も出場するのだ。リレーでは25フリーだが、個人種目で25バッタ50フリーを泳がねばならないのだ。しかも、昨年、一昨年の蔵本と違って、今回は短水路だけにターンが要求されるのである。

 昨年、春と夏の両マスターズでダッシュがターンに一番気を遣っていたことを思い出したミケンは、久々に別人格の《ミケン》と語らっていた。

ミケン 「あーあ、みんながリレーって言うてはるけど…」
《ミケン》 「そうやで、お前はくるっと回るターンをせなあかんのやで、ビキャンビキャン」
ミケン

「でもな、今は25のタイムを上げるの必死なんや」

《ミケン》 「あほな。大会で恥ずかしい思いをするのはイヤやから、練習してるんやろうが、ビキンビキン」
ミケン 「でも、そんなに泳いでなかったからな」
《ミケン》 「こらっ。それやったら前回の10話に宣言してた2000の練習を、しっかりこなさんかい、ビギビギ」
ミケン 「そうやな。するしかないよな」
《ミケン》 「そやそや、お前はできる子やでぇ、ビヴィビヴィ」

 こうして、自分の内部に存在するミケンの親友ともいえる《ミケン》によって、改めて根拠のないやる気を手にしたミケンは、宣言通りに練習をこなすことにしたのだった。

 一方、ダッシュも初エントリーとなる50バッタに向けて、着々と準備を進めている。こちらは蔵本の200メドレーリレーに向けての長期的な視野、である。だが、自分の今のタイムもわからず、どんなタイムで泳げるかもわからないダッシュは、手っ取り早い目標を見つけた。

ダッシュ 「ボク、阿波校のOさんには負けるかもしれませんけど、アイツには負けません、ムフッ」
バイオ 「アイツって、ミケンか?」
ダッシュ

「ムフムフッ」

バイオ 「でも、50は種目が違うだろう」
ダッシュ 「だから、です。ボクはバッタでミケンのフリーに勝ちますよ、ムフムフムフッ」

 こうして、ミケンとダッシュは、びっくりするくらいの練習量を確保してゆくのだった。

(あと、ちょいと続きまくらせていただく)

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