第8話 率先垂範(そっせんすいはん)
【意味】自らが手本を示すこと。
 ミケンに地獄の100を味わわせるとして、さすがに距離が距離だけにバイオも不安を覚えた。そこでバイオは、ハイパー&ミケンが木当に山城で『スイム600』をこなしているのかをチェックしに行くことにした。もし、そこでしっかり泳いでいるようなら、安心して長野の空の下から、ミケンの100を思い浮かべて、ニンマリしながらミケンの苦しそうな《ミケン》を想像しつつ、名物の蕎麦やら馬刺やらを食っていられる。6月22日(水)、バイオは、山城へ出かけた。

 さて、ハイパー&ミケンは、普段、バイオもダッシュもいない山城を聖域(サンクチュアリ)だと認識していた。が…敬愛するスミカコーチのレッスン中に、ふとプールサイドを見上げたところ、バイオがっ!
 ここに、ハイパーが当日のことを克明に記したリポートを入手したので掲載しよう。

キツいながらもミケンと私にとって楽しみなスミカコーチのレッスン。今日もいつものように楽しいレッスンが始まる、はずだった。しかし、開始早々プールサイドにバイオさんの姿が…。
なんということであろう。ミケンと私とにとってサンクチュアリである山城にバイオさんが来てしまったのだ。

『せや、今目はバイオさんがスイム1000に来るって言うてはった! ビキャン』

『先週、ミケンとハイパーが無謀にも挑戦し、撃沈した《スイム1000》を泳ぐらしいデ! ミシミシ』

二人の別人格の声が聞こえたのかどうか定かではないが、黙々とウォーミングアップするバイオさん。ちらりと2人の様子をうかがう姿は『おまえら、スイム1000に来いや』と言わんばかり。
スミカコーチのレッスンが終わり、いよいよスイム1000&600が始まる時間。
先週、階段をとばして上がっちゃダメということを身をもって感じた2人はスイム1000のコースをスルーし、スイム600のコースに入る。
いつもの、元お嬢様方に『お先にどうぞ』と前を勧められながらまずはウォーミングアップ。ペースを徐々に上げていきながら300メートル。先週は、このアップの時点であっぷあっぷだったが、今日はどうにかこなせそうだ。しかし次のメニューで私の両腕・両足の筋力は完全に奪われた。『50メートルハイペース&50メートルゆっくりと』を2セット。
ミケンの後ろで泳ぎながらついていこうと試みるも、泳いできた期間が違う。
ミケンから繰り出される強烈なキックに推進力を失い、差がどんどん開く。周りから見れば、溺れていると間違われそうな泳ぎになってしまった。最後の100メートルはダウン。私はフラフラ。レッスン後、しばらくプールから上がることができなかった…

 ここでハイパーの証言が、ミケンを追い込んだ。そう、『泳いできた期間』が違うミケンは、距離が伸びても、何ら心配のなさそうな泳ぎをしていたのだった。無論、バイオも自分はスイム1000に入りながら、ちゃっかりミケンをチェック済。ここに、ミケンの100デビューが一歩、現実味を帯びてきたのだった。
 終了後、バイオはミケンに一言。
バイオ 「おいっ、ミケン。わざわざオレが泳ぎに来たのに、おまえ600かよ。ちゃんと1000に入れよ」

 そう、バイオは率先垂範し、1000を泳ぎに来たのであって、本当はチェックしに来たわけではない…らしい。さて、ミケンは、自らに降りかかった火の粉をどのように払いのけるのだろうか?

(かわいそう…)

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