第4話 不言実行(ふげんじっこう)
【意味】だまって実行すること。
 『スイム1000』。それは、水泳好きのお姉様方や、お兄様方たちにとっては、なかば自虐的な快感と共に訪れる素敵なヒトトキである。45分間で、とにかく1000メートル泳ごう、というコンセプトにのっとって、コーチが用意したメニューを皆で頑張って泳ぐコースなのだ。無論、皆、一人である程度は距離をこなせるのだが、皆で「泳がされる」と、苦しみが喜びに変ずるという性質を兼ね備えている…らしい。だが、当然のことながら、「マイペース」でしか、まだ泳ぐことのできないミケン&ハイパーにとって、それは地獄のように苦しいものである。なのに…バイオは、残酷なまでの要求をミケン&ハイパーに突きつけてきた。
バイオ

『スイム1000』のレポートを、書いてくれよ…」

 つまり、ここに、「行ったフリ」というゴマカシが通用しなくなったのである。覚悟を決めたミケン&ハイパーは、意を決して山城へと向かった。6月15日、水曜日のことである。
 そもそも、以前はスミカコーチの「初級」と「はじめてのプール」で特訓を受けていた2人だったが、マスターズの大会当日、2人の上達ぶり、それにタイムを確認したスミカコーチは2人に、こう告げた。
スミカコーチ 「お2人とも、今週から『はじめてのプール』は卒業してくださいね」

 スミカコーチのお墨付きをもらって何となく嬉しい2人だったが、少し困惑した。というのも、わざわざホームグラウンドとも言える藍住に行かず、山城まで行っていたのも敬愛するスミカコーチのレッスンを受けるためだったからだ。しかし、「初級」は受けられる。なら、そのまま、「はじめてのプール」の横でガンガン泳ぐ『スイム1000』に入るのも悪くないかも知れない。
 2人の男は、やはり「男の中の男」だった。本当に、『スイム1000』に挑戦したのである。

 同日、阿南で既に勤務していたバイオのもとにスミカコーチから1本のメールが『!!!』という題名とともに届いた。なんと、本気で2人が『スイム1000』に入っているという連絡だった。
 さすが、ミケン&ハイパー。前日の時点では、バイオに「行きます」とも、何も言わなかったのに。不言実行、男の鑑(かがみ)である。
 そして…ミケンからのレポートを、手に入れた。この内容は、次回。んっ? おやっ? えっ? そうだったのか…。ムフムフ。

(ヨッシャ)

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