第1話

あやなし《文無し》 「道理に合わない、めちゃくちゃだ」

 噂はかねがね聞いていた。はまんちゅ、ことハマグチ講師は、イーズアカデミーに勤務すると、ある特典がついてくることを。
 最初に配属されたばかりの頃、ダッシュこと吉田講師やら、スマイリーこと小松講師から聞かされていた。彼らは実に驚くほどの笑顔で、語る。

ダッシュ&スマイリー 「ハマグチ先生、泳げますか?

 そう、恒例ともなりつつある四国進学会水泳部への勧誘だった。
 しかし、はまんちゅは、たかをくくっていた。

はまんちゅ 「そんなん言われても、ボクは40歳をこえてるんやで。不惑や、不惑。そんな人間で、しかも、素人をホンマに泳がせるわけ、あれへんやろ」
 甘い、の一言である。当編集部員は、そんなことを聞く耳は持っていない。(対句A)
はまんちゅ 「だって、ミケンさんも、ハイパーさんも泳げへんかったって言ってたけど、まだ20代中盤だったはずやで」

 甘い、の一言である。当編集部員は、そんな考慮をする心は持っていない。(対句B)

 ミケンこと森田講師も、ハイパーこと市原講師も、結局は逃げ道がなかったのだ。そんな中、編集部員からの連絡を受けたスマイリーが、ついに正式にはまんちゅを引き込んだ。しかも、特典付きだった。そう、これこそ立派な「特典」だ!

スマイリー 「はまんちゅさん、ウチの純夏がコーチしますから」

 はまんちゅも、最初からオリンピックメダリストのコーチを受けるという「とびっきりの特典」をもらい、道理に合わない船出をしたのであった。

(とりあえず、終われない)

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