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密かに小心者の森田は、びびっていた。びびりながら当日を迎えてしまった。
朝から快晴。森田のミケンが今日も皺をギンラギンラと波立たせている。しかし、心の中は大雨、いやいや、むしろ台風だった。
実際に見た蔵本の50メートルプールの長いこと長いこと。眩暈さえしてしまいそうだ。しかも、ダッシュは、余裕の面持ちで開会式後、寝ている。
不安なまま、昼休みを迎え、アップをしにプールに入った森田は、愕然とした。
森田 「長い……」
そんな不安は絶望に変わり、絶望を抱えたままレースは近づく。
ところが、レース直前、心の支えである師匠源純夏さんが、一瞬だけ顔を出してくれたのだった。彼女は一言、
「最初は楽に泳いで、ラスト5メートルだけは頑張ってください」
とアドバイスをくれたのだ。だが、森田は、それを勘違いした。源選手レベルの「楽に」というのは、全力の95パーセントくらいなのであろう。要するに、「力みすぎるな、ガチガチになるな」というアドバイスなのだ。しかし、森田は、本当に「楽に」泳いでしまった。
ダッシュのスピードについていけず、ゆったりと泳いだ森田。皆の注目を集めていただけに、残念な結果(目標より10秒遅かった)に終わった。
泳ぎ終えた後、源さんは、こう慰めてくれた。
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