第13話 きっ?
 いよいよ、マスターズの申込期限が迫ってきた。バイオからハイパーに手渡された1枚の紙。それは誓約書だった。マスターズ大会では、年齢の高い選手も出場するので、以下の文面が記された誓約書に、各出場選手が署名し、印鑑を押すのである。
誓約書

2005年度徳島県マスターズ夏季水泳競技大会出場にあたり、当クラブ出場選手は、週1回以上定期的に水泳練習を実施しており、自己の健康管理については一切の責任を負うことを誓約致します。

これが全文である。さらに、その下に、
出場選手捺印

私達は大会出場にあたり、健康について何ら異常はなく、自己の健康管理については一切の責任を負うことを署名、捺印の上ここに誓約致します。

 既に、バイオ、ミケン、ロージー、ダッシュが署名、捺印を済ませている。ハイパーは思った。

「あーっ……ついに、冗談から本気になってしまった。今までなら、まだ『冗談』の一言で済ませる可能性もあったのに……もう、本当に泳ぐしかないんだ……

 弱気になった瞬間、ハイパーの中でおとなしいフリをしていたストマックが暴れ出した。

ストマック 「ミシミシ。これって、チャンスやんけ。『自己の健康管理』は『一切の責任』なんやから、当日、病気になってしまえば、こっちのもんやで。」
ハイパー 「ああ、でも、どうやら、TSDの松岡さんが、四国進学会水泳部のために、リレーの時、横で泳げるように2組もチームを作ってくれるらしいんだ。それを裏切ることはできそうもないよ」
ストマック 「ほな、オレが暴れたる」
ハイパー 「……でも、やるしかないな……」

 そう呟いたハイパーは、眼光鋭く、宙を見上げた。その眼差しが、きっ! と空の向こうにある「未来」を見据えていた。さすが、勝瑞校校長ハイパー。逆境を乗り越える姿が、凛々しく輝いていた。

 が、そんなハイパーの姿を横で眺めつつ不安を覚えるメンバーがいた。文字通り、「不安」なのだ。彼は、自分の「身」に危険を感じていた。その、彼とは……ダッシュだった。

(どっこい、続きまくる)

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