第12話 かっ?
 4月26日、火曜日。毎週火曜日は水泳部男性陣4人が揃って朝の11時に藍住に集合して練習するという、塾講師としては全くもって不健康な習慣がついてしまった。その日一番乗りはバイオ。続いてダッシュ。ダッシュは、景気づけに一服してからプールへ。体力に自信のないバイオは、先に練習を済ませようと、さっさとプールへ入った。若い2人の登場を前に、バイオもダッシュもそれぞれ自分たちのノルマをある程度片付ける。
 すると、やや遅れてハイパーが登場した。バイオもダッシュも自分たちのノルマをこなしているものだから気楽である。ハイパーの泳ぎを見ながら、ああでもないこうでもないと批評し合っていた。とはいえ、やはり、カナヅチだった男とは思えないほどの上達ぶりに、2人ともビックリしてしまう。
バイオ 「なあ、ダッシュ。去年のミケンと今のハイパー、どっちがうまいかなあ
ダッシュ 「単純に比較はできないですよね」
バイオ 「じゃあ、計ってみようか
ダッシュ 「それは、よいです。むふむふっ」

 ある英語科講師の話術を取り入れつつ、ダッシュも同意した。
 ハイパーは、何も知らずに泳ぐ。懸命に1本1本泳いでいるので、どこで計ってもたぶん同じだろう。ということで、バイオとダッシュは、むふむふニヤリで見つめていた。
 泳ぐ、あがく、頑張る…。ゴールっ!
 4月26日現在、ハイパーの25自由形は24秒だ。

 遅い……と、一瞬、目の前が暗くなりかけたバイオだったが、ふと1年前のことを思い出した。そう言えば、あの、今ではバタフライや背泳に「ごきげんだぜぃ」てな感じで取り組んでいるミケンも、最初に計ったときは24秒だったのだ。かっ。これなら本番で去年のミケンと同じくらいのタイムである17秒は期待できるのではなかろうか。かっ、気合いだ!
 そう、こうやって、我が四国進学会水泳部は、本人の意思とは関わりのないところで、他人が気合いを入れ、そこにドンドン巻き込まれていくのである。さて、ハイパーの本番でのタイムは、いかに? あなたの予想タイムを、こっそり教えてください…

(少し勢いが弱まるが、たぶん続きまくる)

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