第11話 しっ?
 コマツコーチのレッスンをリポートしたミケンは、前回、あまりに内容がなかったためにバイオにブーイングを受けていた。

バイオ 「おいおい、あれじゃあ、水泳の楽しさが伝わらんだろ」

ミケン 「はい。今回は、克明に内容をリポートします。」

 ミケンの決意を知ってか知らずか、ハイパーのレッスン第2弾が始まる。さて、ここからは、ミケンによる4月20日分のリポートを今度こそは楽しみにしよう。

 ハイパー氏にとって2回目のレッスン。今日も最初にお姉様方(年齢不詳)から『ちひろちゃん(ミケンの愛娘の名前。胸に日焼けのあと有り)、○○ちゃん、こんにちは』という挨拶。すっかりスクールにとけこむハイパー氏。もう、お姉様方の扱いも上達。本日の初級は前回の復習からスタート。重点をおくのは手を伸ばすこと。ハイパー氏は、コマツコーチに『なかなかの上達』とほめられる。さらに、続いて前回ハイパー氏の足から筋力を奪ったキックから。キックを軽く2本。問題は、その後に訪れた。なんと、ビート板を使わずに、しかも顔を上げてキック。2人で「ありえない」とため息をつく。それでも頑張る。でも沈む。『これができれば楽に進むようになりますよ』敬愛するコーチの言葉を信じてハイパー氏は練習に励んでいるのであった
 確かに、そんな技を覚えれば、おそらくスピードは格段に上がるはずだ。だが……スピード? はて、ハイパーは25をどのくらいのタイムで泳ぐのだろうか。早速、バイオに訊いてみた。
バイオ 「んっ、知らんなあ」
おや、これはいかん。ダッシュにも訊いてみた。
ダッシュ 「むふむふっ」
おっと、答えになっていない。ミケンにも訊こう。
ミケン 「ボクは、自分のトレーニングでいっぱいいっぱいっすよ。計る余裕なんかないっす」
しかたない、本人に訊いてみよう。
ハイパー 「ついに、その質問っすか。……しっ……まだ速くないんで、言えません」

 しっ? そうか、それならしかたない。近々、誰か取材班を派遣して、とりあえず現在のタイムを報告してもらおうではないか。野望に燃える編集部であった。
 嗚呼、ハイパー。ひそかに、黙々と積むはずだったトレーニングは、一つ一つ白日のもとにさらされていく。ハイパー27歳。まだまだ苦難の道は続く。

(やはり続きまくる)

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