第10話 へっ?
 ミケンは焦っていた。まさか、《ミケン》とミケンの「御好意」が、あだとなって、50バタフライなど泳がされては、たまったものじゃない。よって、おそるおそるバイオの手元を覗いてみた。なーんだ…、ミケンのところには、ミケンの『希望通り』の25バタフライが記入されていた。ほっとしたついでにハイパーの名前を探すと、ハイパーは、結局25自由形にエントリーされてしまっていたのであった。今回のマスターズは、どうやら、いつものメンバーにおける必須種目が25自由形のようで、バイオもダッシュもミケンもハイパーも、さらに性別は違えども、ロージーも…全員25自由形にエントリーしているようだった。友好関係にあるTSDも全員出場するらしい。
 一方、そんな動きを全く知らないハイパーは、キリキリと悲鳴をあげるストマックとも、ずいぶん交流を深めつつあった。
ストマック 「ミシミシ、最近、オレのミシミシに動じなくなったなあ、ミシミシ」
ハイパー 「ああ、コマツコーチのレッスンを受けてから、自分が着実に上達してるのがわかるんだ」
ストマック 「ミシミシ、でも、この前、ある塾のホームページに掲載されてる、何やらっていうコーナーにミケンのリポートが載ってたのを見たけど、肝心の泳ぎに全く触れられてなくて、上達ぶりがわからんぞ、ミシミシ」
ハイパー 「ふふっ。オレをなめないでくれ。モーターがついてなくとも、オレのアクセルは全開だよ」

 爽やかな晩春の風に吹かれ、サラリンとした髪をなびかせながら呟くハイパーは、素敵だった。さすがに勝瑞校校長としての重責を果たす男前。これなら、おそらく、6月のマスターズでのデビュー戦は華々しくなりそうだ。

 おっ、ここで、またもやミケンによるリポートが届いたらしい。へっ? コマツコーチレッスンリポート第2弾? はいはい……これは、次回、お届けしようではないか。

(結局、続きまくる)

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