第5話 時制 〜時・条件節の副詞節〜
 当編集部員が、様々な諜報活動を行いつつ、部員たちの動向や思考までをもチェックしているのは有名な話である。
 今回、編集部員は、ダッシュとバイオのメールのやりとりを入手した。かなり信頼度の高い情報であることは確かである。その内容から、蔵本に向けて燃えるダッシュの並々ならぬ決意、それに目標タイムが判明したのであった。

 以下、メールより抜粋させていただく。

バイオ 「50バッタ、ダッシュ君には蔵本で37秒を期待します。いや、確信させてもらいます」
ダッシュ 「私の目標値と同じです」

 たった、これだけのやりとりしか紹介できないのが心苦しいのだが、このやりとりから、ダッシュの決意を汲み取っていただけるだろう。
 6月の夏季マスターズに於いて、44秒だったダッシュは、あまりの不甲斐なさに、自らを恥じ、そして、奮い立たせようとしているのだ。そう、ダッシュは

オトコ
なのだ。あっぱれである。

 だが、編集部員は、一つ危惧していることがある。そう、ダッシュは、競って、競って、自らを燃え立たせる漢なのだ。その、競争する相手であるミケンが遅ければ、やはり、ダッシュの情熱が夏の空に無惨な状態で散ってしまう。それではいけない。
 ミケンよ、編集部員は信じているぞ。君も蔵本での大会の5日前にとうとう三十路に足を踏み入れる。ならば、人生に於いて、最も脂ののった時期に差し掛かるのだから、ここは愛する娘と息子に、君の熱い人生を見せなければならぬ。昨年、不参加だった、この大会で、ミケンの名前を永遠に刻み、ミケンとダッシュの戦いを観客すべての脳裏に刻み込むためにも、君のタイムも37秒でなければ話にならぬ。

 (構文)ダッシュの目標タイムが37秒ならば、ミケンもおそらく37秒で本番を泳ぎ切ってしまうだろう。

 If Dash sets his target time of 37 seconds, in the race Miken will probably reach the goal in 37 seconds, too.

(Hurry up !)

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