第4話 比較
  クジラの構文をご存じだろうか。のっけから、水泳に関係なさそうなネタで申し訳ない限りなのだが、この「クジラ」が、ミケンを着々と追い込むのであった。

 ダッシュは、以前にも述べたように敵を認識した瞬間に、異常なほどのパワーを発揮する。しかし、本来、ミケンの方が体格も大きいし、年齢も若いのだから、そんなダッシュに負けてはいけないのである。にもかかわらず、やはり、人間には「メンタル」面での作用が災いして、ミケンを「負ける…」の方向に追い込んでしまうのだ。そんな状況を証明する会話をご紹介しよう。

《ミケン》 「おいおい、ダッシュさん、燃えてるみたいやな、ビキビキ」
ミケン 「そうなんや、迷惑な上司やで」
《ミケン》 「でも、お前の方が体格もデカいし、頑張ったら勝てるはずやで、ビキビキ」
ミケン 「ほんなん、物理的・肉体的にどうであれ、精神的にあかんねん」
《ミケン》 「んっ、ダッシュさんの、恐い流し目かいな、ビキンビキン」
ミケン 「そうなんよ、あれに睨まれたら、動けんのや」
《ミケン》 「あほやな、見んかったらええやないか、ビキャビキャ」
ミケン 「いや…それが、吸い込まれてまうんや…それにな、ダッシュさん、身長はオレより低いけど、体格はゴッツイんやで」
《ミケン》 「そやったな、筋トレが趣味やったな、シュピシュピ…」

 そう、闘う前から既にミケンは戦意を喪失してしまっているのだ。ダッシュは確かにタダモノではない。毎日のハードな仕事に、加えて、筋トレ&スイミング。あふれんばかりのパワーで生徒をも巻き込むオーラを放っている。だが、忘れてはいけない。ミケンも、世間一般のタダモノではないのだ。何よりもカナヅチから始めて、今ではブレ以外の全種目に大会出場キャリアを持つツワモノなのだ。

  (構文)ダッシュがタダモノでないのと同様に、ミケンもタダモノではない。
       Miken is no less something than Dash is.

 この「クジラの構文」がある限り、ミケンはダッシュに好勝負を仕掛ける義務を持っているのである。

(もうそろそろ、佳境)

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