2002年度 徳島県勤労者大会編

 平成14年7月28日。蔵本公園プールにて、徳島県選手権兼国体選手選考会兼徳島県勤労者水泳大会が行われた。我が四国進学会水泳部は、前々週、新調したばかりの水着を手に、蔵本へと朝っぱらから突撃したのだ。
(写真)四国進学会オリジナル水着。
どっちが誰のおケツでしょう?
 今年も、参加選手は阿波校校長のダッシュ吉田(27歳)と阿南校校長のバイオレンス山本(34歳)である。大会は朝の9:30より開会式。しかし、時間を勘違いしていた山本は、10:00から開会式だとばかり思っており、集合を10時前に設定してしまった。
山本は、当日、親友でもあり、自らの著書「二つの母国」の主人公でもあるバンデワーレ泰広(32歳)を迎えに行った。彼は、平成14年9月に開催される「くろしお国体(高知県)」の予選のため、10年ぶりに現役としてのレースに臨むこととなったのだ。住民票は徳島にあるものの、東京在住のバンデワーレを大松町にある彼の実家のマンションに迎えに行き、会場到着は9:20。すると、無情にもアナウンスが本プールでのウォーミングアップ終了を告げ、山本は時間を勘違いしていたことに気づいたのだった。
(写真)山本俊輔・著 「二つの母国」。1996年発行のベストセラー。今では入手不可能のレアな品である。E's内にも個人所有の1冊が現存するのみ。
「これは、いかん。タツが遅れるかも・・・」と思っていた矢先、吉田が息切らしてげっそりとした顔で登場。何でも家から自転車で来たらしい。ちなみに、この日、新聞発表では、徳島市の気温33.8℃。泳ぐ前にバテてしまう。
 昼までは、何事もなく終わり。いよいよ午後から2人の出番だ。吉田は昨年同様、50メートル自由形に出場。
 しかし、その前に10年ぶりに復帰したバンデワーレの50メートル背泳が行われた。知る人ぞ知る、しかし、知らない人は全く知らないが、バンデワーレはバルセロナオリンピックの元ベルギー代表選手である。その当時、オリンピック9位。つまりは、世界的なトップスイマーだったのだ。我々E'sアカデミーのスタッフとも縁が深く、今年の11月には某スタッフの某行事に某役目で帰ってくる。
(写真)なんであーれ、バンデワーレ選手もやはりデカイッ(!?)。しかし、すっかりお馴染みに(?)なったこの構図

 バンデワーレが、脱いだ。歓声、いや、悲鳴、いや・・・。形容できない観衆のドヨメキは、102kgの体重を目の当たりにしてしまった人々の叫びであった。観客席のあちらこちらから聞こえる声。「無惨だわ・・・」「ひどすぎる・・・」だが、彼には、その呟きは届かない。号砲一発、世界レベルのスタートが決まった。しかし、トンレベルの体重は、彼の身体に少しずつブレーキをかけ始めた。25メートルまでは辛うじてトップだった彼は、そこで高校生に抜かれた。「競り合いに強い!」「並んだら負けない!」バンデワーレの現役時代の評判である。・・・であった。彼は、「無惨」にも、負けた。


 タツこと吉田の出番が来た。今年は、昨年に比べて泳ぎ込みが足りないので、不安の残るレース前。だが、飛ぶ吉田は滞空時間も飛距離も長かった。
・・・ところが、水に入った瞬間、バチーン!という音が会場に響いたのだった。観客は、またどよめいた。この日のギャラリーは、とても素晴らしいパフォーマンスに満ちた一日を味わうことのできた日だっただろう。
(写真)風向きOK、角度OK、狙いはK点、飛んだっ! 吉田選手!

 強烈な腹打ちからスタートした吉田は、天性のスプリントでダッシュ、ダッシュ、ダッシュ。今年の吉田はひと味もふた味も違う。ゴーグルもかけずに泳いでいるし。しかし、これがアダとなった。ゴーグルがない分、前が見えなくなった吉田は、失速。優勝はしたものの、37秒36のタイムは昨年を2秒下回ってしまった。レース後の打ち上げで吉田は、「これからはサッカーを本格的にやります」と宣言した。サッカーで足腰を鍛えて、来年は、もっともっといいタイムを出す決意を固めている。

 役員を兼任している山本の出場種目は100メートル平泳ぎ。今年で5年目を迎える全国実業団大会への参加だが、1年目、1分18秒202年目、1分18秒563年目、1分19秒984年目、1分17秒98。という戦績だ。今年の目標は1分17秒5のつもり。それで、本番前に、日本でも最も泳ぎにくいプールである蔵本で予行演習をしようという心づもりらしい。蔵本よりも1秒は速くなるだろうということなのだ。そのためにも1人ではペースがつかみにくいので、何とか若い衆と一緒に泳ぎたいと思った山本は、無謀にも現役バリバリの中学3年生や高校1年生との勝負に出たのだ。無論、かなうはずもないのに山本は前半からついていくつもりである。コース紹介の時、観客席の一角から、黄色い声援(少し熟していたかもしれないが)と拍手が飛んだ。どうやら、塾生の兄弟が今大会に出場しており、その保護者らしい。しかし、山本は、この声援を聞いて燃えてしまった。燃えて燃えて、50メートルまでは若い衆に本当についていったのだ。だが・・・やんぬるかな・・・34歳という年齢は、嘘をつかない。75メートルを過ぎて、山本は、浮いた。

ラスト10メートルは山本にとって壁の近づかない感覚に襲われる、長く苦しい時間だったのだ。
ようやく着いた山本のタイムは1分17秒41! 何と蔵本であったにもかかわらずこの5年間での最高タイムだった。山本は、思わずプールから上がって、誰もほめてくれないので、「誰かほめてくれー」と叫んでいた。

 暑い暑い一日は、夜のビールで締めくくられた。

間違い探しではありません。表彰される吉田選手(右)と山本選手(右下)。
今年も見事アベック優勝!
おめでとう!!
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