かれこれ数年前、彼女はE'sアカデミーで学んでいた。
 かれこれ数年前、彼女は、まだかわいい女の子だった。
 あれから数年。彼女は、綺麗な大人の女性に変貌を遂げる…はずであった。が、しかし、彼女は、相変わらずあどけない。まるで、
大学生のような…いやいや、高校生のような…いやいや、中学生のような…いやいや、小学生のような愛くるしさを振りまきながら、仕事をしている。
 しかし…だまされることなかれ。彼女の言葉には、愛情たっぷりの
「毒」がある。彼女の視線には、情熱いっぱいの「棘」がある。彼女の授業には、内容いっぱいの「智」がある。人を見かけだけで判断してしまうと、とんでもないことになる。その典型である。
 彼女は、英語科に所属する。この英語科の女性講師陣達がクセモノだ。彼女たちは、皆、大食いだ。大食らいなのだ。そんな英語科に所属する彼女も例外ではない。小柄な身体に似合わぬほど、
食う。食って食って食いまくっている。時間があけば、菓子食うメシ食うアイス食う。何でも…食う。食ったモノは、そのまま馬力となり、あの元気でやかましい授業、それに、しつこいまでの個別添削指導が行われているのだ。
 高校・大学を通じてオーケストラ部に所属した彼女は、音感もバツグンだ。まるで流れる音楽のように、授業を展開するのは、その効果かも知れない。
 あれから数年が、経った。彼女…市原友紀は、かわいいながらも、立派で優秀な講師として、以前よりも輝きを増している。